暗転から葉桜へ。CYNHNが3日間で見せた「春を攫った」の届け方

matsumoto

5月31日、心斎橋Music Club JANUS。対バンイベント「UTARI OSAKA」はSOLD OUTだった。カラフルスクリーム、CYNHN、Kolokol、headlinerのタイトル未定という4組。CYNHNの出番は14時から、2番手の枠だ。

「今年はなんだか大阪に行かせていただく機会が多くて」と広瀬みのりが終演後に書いていた。5月だけで2度目の大阪。CYNHNにとって、もう馴染みの街になりつつある。

静かな3曲と、照明が変わった7曲目

SEが鳴り、1曲目「イナフイナス」。冒頭から綾瀬志希のフェイクが空間を引き込む。続いて「飴玉」「もうだいじょうぶ」。序盤3曲はいずれもダークな質感で揃えた。

翌日の渋谷O-WESTの特典会で、綾瀬志希がファンにこう話していた。「いつも対バン相手の曲聴いてから決めるからさ」「過去一好きなセトリかもしれない」。セットリストは固定ではなく、その日の空間に合わせて組み替えている。

3曲を終えて広瀬みのりがMCに入った。関西のファンへの感謝、各地から来てくれた人への言葉。綾瀬志希が「ありがと!」と被せる。そして「11月16日にZepp DiverCity TOKYOにてバンドセットワンマンライブを開催します」。MCは77秒。短い。でもZepp DiverCityの名前が、この30分に一本の線を引いたように見えた。

綾瀬志希の「まだまだ声を出せますよね?」「その調子で行きましょう」で空気が切り替わる。「ノミニー」「ループバック・ロールトラッシュ」「水生」と畳みかけ、前半のダークを反転させていく。4人の声が箱の奥まで届いていた。

7曲目。ラスト。照明の色味がはっきり変わった。

「春を攫った」。6月3日に配信リリースされる新曲が、3日前のこのステージでクローザーとして鳴った。作詞・作曲は渡辺翔、編曲は高橋諒。CYNHNにとって初めて「季節」をテーマにした楽曲だ。5月13日、雨の代々木公園野外フリーライブで初披露され、この日が2度目のステージだった。5月末なのに葉桜にピンクがちらつくような照明が降り、ダークな序盤からまるで季節が変わるような転換だった。

終演後、青柳透がKolokolの佳凪きのとの写真をXに上げていた。「ずっと”かわいくておもしれー”と気になる存在だった」「今日いっぱいお話できて嬉しかったです」。佳凪きのは後日、CYNHNの「キリグニア」のカバー動画を投稿し、9,600を超えるインプレッションを記録している。

そしてもう一つ。青柳透は心斎橋を歩いているとき「CYNHNさんですよね?」と声をかけられたことも投稿していた。「私たちって青色の服を着ていない時でもCYNHNの人だってわかるんだな〜!と感動した」。私服の、街中での出来事。

翌日、渋谷でセットリストが変わった

6月1日。渋谷Spotify O-WEST。「shibuya luisant Vol.50」でCYNHNはトリを務めた。

8曲のセットリスト。前日の大阪と比べて1曲多い。「アンサンぶる」で始まり、「絶交郷愁」「ループバック・ロールトラッシュ」と中盤まで攻める構成。そしてMCへ。

綾瀬志希が口を開く。「素敵なイベントで50回っていうね、すごいね、続けていくことってやっぱ一番大変だから」。青柳透が「9年目のグループが言うと違うね、言葉の厚みが」と被せた。9年。CYNHNもまた、続けてきた側にいる。

告知は3つ。6月29日の恵比寿リキッドルーム9周年ワンマン、11月16日のZepp DiverCity、そして「あさって、新曲が配信リリースされます」。広瀬みのりの「聴いてください、春を攫った」で曲フリに入った。

大阪では「水生」の後に「春を攫った」でラスト。渋谷では「春を攫った」の後に「水生」が来て、さらに「ベイビーブルー」「So Young」「はりぼて」と3曲続いた。新曲がラストではなく、セットの中盤に溶け込んでいる。同じ曲を、2日連続で違う場所に置いていた。

6月3日、0時

配信は0時に始まった。ライブで先に聴いていたファンは「代々木ワンマンで見た初見の印象も、音源聴いた今の印象も最高到達点」と書いた。「ライブと音源で全く色が違う。音源は春の軽やかさと季節が過ぎる儚さが前面に、ライブは生命の息吹を感じさせる力強さ」という声もあった。

楽曲への言及は分析的だった。「ボーカルを全面に出すのではなく、サウンドに添えるような音源のつくりになってて新鮮」。「落ちサビの入りが透ちゃんで、落ちサビといえばのねるちゃんではないのがそう来たか、やられた」。「春=ピンクというイメージだけどCYNHNが歌うと青になる」。聴く側が制作の意図を読み取ろうとしている。

大阪で新曲をラストに置き、翌日の渋谷でセットの中盤に移す。その2日後に配信リリース。ライブで体験した人は音源を「あの日の曲」として聴き、音源で知った人はライブに行きたくなる。

「春を攫った」— 作詞/作曲: 渡辺翔、編曲: 高橋諒。配信中。MVは6月3日22:30プレミア公開。

6月29日、恵比寿LIQUIDROOMにて「CYNHN 9th Anniversary LIVE -Blue Symphony-」。11月16日、Zepp DiverCity(TOKYO)でバンドセット・ワンマン。同会場は2022年5月以来2回目で、前回のコロナ禍キャパ制限を超えるフルキャパでの初挑戦になる。

配信リンク:https://cynhn.lnk.to/Haru-Wo-Saratta

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